冬場に起こりやすい網膜静脈閉塞症
冬場は、寒さを感じると自律神経(交感神経)の働きによって血管が収縮し、血圧が上昇します。特に暖かい室内から寒い廊下やトイレに移動したときなどには、急激な温度差によって血圧が急上昇し、血管に大きな負担がかかってヒートショックの症状を起こしてしまうことがあります。この症状が目の中で起こると、網膜の静脈が詰まって出血などを引き起こす、網膜静脈閉塞症になってしまいます。とくに血圧が高い方は、血管が障害され、動脈硬化を起こしやすくなっています。
網膜の静脈が詰まるとものを見る中心機能を担う黄斑という部分にむくみが出ると、ものがゆがんで見えるようになります。また、血管が破れて眼底出血が起こり、突然の視野障害が生じます。
予防するには、急激に血圧を上昇させるような温度変化が生活の中で起こらないように注意する必要があります。寒いトイレや脱衣所は暖房器具で温めておきましょう。浴室内を温水シャワーで温めてから入浴するのも効果的です。外出するときは、室内でコートやマフラーをしっかり身に着けてから戸外に出るようにするとよいでしょう。とくに高血圧症の方は、生活改善や薬物療法によって血圧の正常化を図るよう心がけましょう。