新型コロナウイルスによる結膜炎の報道に関連して

新型コロナに感染したときの臨床像は、2つのパターンに分けられます。

まず、風邪症状が1週間ぐらい続いて、そのまま軽快するというもの。この経過をとる人が大半です。新型コロナといっても、重めに発症するわけではありません。ほんとに風邪です。ただ、普通の風邪は2,3日で治りますが、新型コロナだと長引くのが特徴です。

次に、風邪症状が1週間ぐらい続いて、倦怠感と息苦しさが出てくるもの。体がむくんだり、下痢が重なる人もいるようです。高齢者や基礎疾患のある方において、この経過をとる人が多いのですが、健康な壮年層にも見られることがあります。一方、この経過を子どもがとることは極めて稀とされています。

感染してから発症するまでの潜伏期間は5日(1-11日)ぐらいで、入院を要するほどに重症化するのは、さらに10日(9.1-12.5日)経ったころだと見積もられています。感染力が強いのは、発症から34日目ぐらいだと考えられています。

新型コロナウイルスが結膜炎を発症する可能性が示唆されていますが、実際のところ診察し結膜炎の所見からだけでは診断はつけることはできません。結膜炎が同居人に感染することもないとは言えないので、タオルを別にするなどアデノウィルス結膜炎と同様の対処をとられることをお勧め致します。